医療法人社団 信陽会 冨永耳鼻咽喉科・アレルギー科
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コラム:ご覧いただく皆さまにわかり易い内容をお届けいたします。
花粉症のレーザー治療について
 鼻粘膜への照射は、アレルギー性鼻炎・花粉症・慢性副鼻腔炎の鼻茸切除などで保険適応とされています。鼻粘膜へのレーザー照射は粘膜全体を消失させるわけではなく、その熱エネルギーで粘膜表層組織を気化・蒸散するものです。レーザー照射後1ヶ月で粘膜上皮はほぼ再生してきますので、1ヶ月に1回の照射を3、4回繰り返しても心配ないと考えられます。逆に言えば、レーザー照射の効果を確実にするためには繰り返した方がよいともいえるわけです。日本でも10数年以上の臨床経験から、重大な副作用報告はありません。

 レーザー治療も1回で調子が良くなっておられる方もいますし、スギ花粉の飛散前に月に1回の割合で3回くらい照射したほうが効果がよく出ていると思われる方もいます。年度によって花粉の飛散量に大きな違いがあるため、一概に治療効果を比較できないのです。

 毎年同じ量のスギ花粉の飛散が起こるのであれば、治療回数に関して割合すっきりした回答が出せると思うのですが、これだけのことをすればもう絶対大丈夫とはなかなか言えないのです。

 そこで、現在次のように考えています。
 一度レーザーを試されて満足ゆく結果が得られた方は、翌年の花粉飛散予想が夏の終わりには出されますから、それを参考にして、ひどくなりそうな年は年末から2月までに3回くらい照射していただく、大した飛散量でなさそうな年は2月初めの1回くらいでも済ませられるでしょう。

 ただ、スギ花粉の飛散量に関わらず毎年つねにひどい症状を出していた方はやはり3回位はおすすめしたいと思います。

 私の現在の考えは、ともかくレーザー治療は永続的な重大な副作用がないので、花粉症の予防薬と言われている高価な抗アレルギー治療薬をシーズン前から飲むことと較べても、医療経済的にも実際の臨床効果の上からも、レーザー治療は遜色ないだろうということです。
施行する回数は、患者さん毎によく御相談しながら、年度ごとにまた臨床症状の変化に会わせて決定していただくことになります。あいまいなご返信となってしまい申し訳ありませんが、アレルギー性鼻炎は症状の現れ方に個人差が非常に大きい疾患ですので、これが実際の治療の現実です。

 レーザー治療はどのような方にも症状の改善が望めると考えています。特に、今までの標準的な治療では自覚症状の改善が充分に得られなかったような重症の方に試みていただきたい治療法です。
ただ、鼻炎に対して内服薬や点鼻薬をどれだけ使っても効果がみられない方があるように、どのような治療方法でも100%の方に有効とは言えませんし、また完全に全ての症状をなくせるわけではありません。鼻中隔彎曲症や副鼻腔炎のある方などは下甲介粘膜の焼灼だけでは、効果が十分ではないかもしれませんので、それぞれ鼻中隔矯正や副鼻腔炎の治療を併用しなければいけません。レーザー照射後にも残った症状がある場合や、レーザー照射による反応の軽減には、少量にしてもお薬が必要です。特に花粉症では鼻だけの症状ではなく、眼やのど、気管、皮膚などの他、ひどくなると全身症状も出ることが多くやっかいです。それらの対策としてはレーザーは無力ですので、目薬や炎症を抑える薬や吸入薬、軟膏などが必要となります。

 スギの予防対策としてシーズンの2~3ヶ月前から、月に1回で2、3回照射、またシーズン中であっても、1回だけのレーザー治療でも、非常に良好な結果が得られている方もあります。
 薬をなるべく使いたくない方、薬を使っていても鼻づまりの改善が悪い小児・学童、妊娠中や授乳中の方、にもおすすめできます。